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「……ほ、本当に少しも笑えなかったのかい?」
「笑える人間がいるのならこの場に連れてきてほしいものですね。私が拳で更生させたいので」
その場に正座して肩を落とし、おそるおそる聞くⅤ。
ノアの返事にビクッと震える。
……が、しょぼんとうなだれて体を小さくした。
「……ごめんなさい」
思いがけず素直なVに、あれっとノアは拍子抜けする。
いつものVなら、「だってだってぇ~!」とゴロゴロ転がって駄々をこねながら言い訳のバーゲンセールなのに。
「……え、どうしたんですか? 変なものでも食べました?」
「変なものは食べてないけど、完全に私がミスした。ごめんねノア」
「いえ、博士が奇行を繰り返してるのはいつものことなのでまったく不思議じゃないんです。むしろ常識ある行動をしたときのほうが毒でも盛られたのか心配になります」
「あれ」
「そうではなくて、どうして今日に限って素直なんですか? いつもそんなに大人しく謝りませ……あ、別人なんですね!?」
「なんだその私名推理! みたいな納得した顔! 本人だよ! ほら!」
ぐいっと顔を近づけるV。ノアはその肩を押し戻す。
「近くで見てもたぶん分からないのでけっこうです。それよりも私は、あなたがまったく駄々をこねることなく謝ったことについて聞かせてほしいのですが」
ノアの言葉に、押し戻された流れで座り直したVはまたうなだれた。
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