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「……あのねノア、世界笑いの日って知ってるかい?」
「? いえ、知りません」
「この間知ったんだけど。五月の第一日曜日だそうだ。つまり今日なんだよ」
「ああ、そうですね……それで?」
まったく感情がないノアの返事に、Ⅴはがくっと肩を落とした。
「いや、それで、せっかく世界笑いの日なんだから、ノアにも笑ってほしいなーと……思って……」
「私ですか?」
予想外の言葉に、ノアは一瞬反応が遅れる。
うなずくⅤ。
「そうそう。ノアって、あんまり笑わないだろ? この間は一瞬笑ってたけど。だから、今日くらいは笑顔になれればいいなーと思って」
「……あの数々の嫌がらせでですか?」
「あれは嫌がらせじゃない。本来なら、ノアは腹筋崩壊して、今頃床をゴロゴロ転がりながら声も出せないくらい爆笑してたはずなんだ」
「死んでもそんなことしません」
床の上を転がって爆笑する自分の姿を想像し、一刀両断するノア。
本気で無理だ。
が、Ⅴは無の表情になったノアをまったく気にせず、一人反省会をはじめている。
「アルミ缶の上にあるミカンとか、あれは絶対に笑うと思ったんだけどな~」
「あれそういうことだったんですか!? ……アルミ缶の中身は飲みかけで、ミカンも食べかけだったんですが」
「だってそれは、目の前に飲み物があったら飲むのがこの真理だし、ミカンがあるのに食べずに置いて終わりなんて人間のすることじゃないだろ」
「あなたが人間じゃないんですよ」
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