72人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなこんながありつつも、私たちは2日をかけて、カイナスギルの魔導学園に到着した。
途中の町で宿に泊まったりしながらも、なんとかたどり着くことができたのだ。
今は目の前に学園の正門が見えている。多少古びてはいるけれど、立派な鉄製の門だ。
ただ、御者さんは途中で山賊に出くわしたことを電報でどこかに報告したりと、ちょっと大変そうだった。
本当は奴らの身柄を拘束したほうがよかったのだろうけど、いずれにしても私ひとりで全員を捕らえることは難しかっただろう。
とにかく私たちがここまで無事に来られたのは御者さんのおかげだし、感謝をしないと。
「長旅お疲れ様です。御者さんのおかげで、無事にここまで着きました。
本当にありがとうございます」
「何をおっしゃる。あなたがいなければ、わしは山賊に身ぐるみはがされるところでしたぞ」
「あのねあのね、私思うんだ。
フローちゃんの魔法も、御者さんの手綱さばきも、どっちも必要なものだったんじゃないかなって。
だからだから、ふたりともありがとうございました!」
ペチュは私と御者さんに満面の笑みを向けて、そう言ってくれた。
その笑顔に、御者さんは思わず涙ぐんでしまったようだ。
最初のコメントを投稿しよう!