第1話『とある"魔女"の追放』

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「待て待て! 話は最後まで聞け!  お前にはこれからカイナスギルの魔導学園に通ってもらう!」  カイナスギルと言えば、この王国の辺境のそのまた辺境の地だ。  尤も今住んでいるジモッティも十分に辺境なのだけど、他国との境である要衝の地だ。  しかし、カイナスギルはこの王国の端であり、どの国とも隣接していない。  海にはつながっているが、漁港として発展しているわけでもない。土地としての重要度も極めて低い場所なのだ。  さて、ここで私が何故そんなことを知っているのか説明しよう。  あれはそう、珍しく父に連れられて市場に行ったときのことだった。  父が市場の商人に値切り交渉をしている傍らで、旅の芸人がネタを披露していた。  その道端で、幼い頃の私はそのネタを興味深く見ていた。 「カイナ! スギル! カイナ! スギル!  みんなが知ってる辺境の地! 辺境の地!  市民の主食は! 森の樹液!! 市民の主食は! 森の樹液!!」  ……あの個性的なリズムネタは、私の耳にこびりついて離れない。  そのせいで「カイナスギルは辺境の地」だと、強く印象に残っているのだ。
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