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がたがたっ!!
やがて声も枯れ、涙も流し尽くそうかというとき、倉庫の奥から小さな物音が聞こえてきた。
幼い私は恐怖で身体が硬直していたけれど、なんとか顔だけは振り返って、その物音の正体を確かめた。
「な、何……!? なんなの!?」
「ぢゅぅうううぅううぅうう!!」
「ひぃっ!?」
それは小さな灰色のネズミだった。
もし噛まれれば病気になってしまうかもしれないけれど、今にして思えばそれほど恐れるものではなかった。
むしろネズミも、私が大声を出してしまったせいで怯えてしまったのだろう。
興奮したネズミは私に向かって突っ込んできた。
「こ、来ないで……! こっちに来ないでぇえええぇえええ!!」
私はネズミに向かって、思いっ切り両手を突き出した。
……そして、そのとき不思議なことが怒ったのだ。
なんと私の手のひらから、大きな炎の玉が生み出され、それがネズミに向かって飛んでいったのだった。
「な、何これっ!?」
その炎はそのまま倉庫を燃やし尽くした。大惨事だ。
私はと言えば、火事に気付いて駆けつけてくれたドロシーになんとか助けてもらえた。
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