第5話『何故か懐かれました』

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第5話『何故か懐かれました』

 それはさておき、私に吹き飛ばされた山賊たちは、まだ意識があるようだった。  身体をふらつかせながらも、どうにか全員立ち上がった。  まあ私も倒すつもりで魔法を放ったわけではない。  ただ力を見せつけて、戦う気力を奪いたかっただけだ。  そして、その思惑は見事に成功しているようだった。 「うぅ……、なんてバケモノだ……」 「とんでもねぇ女だぜ……、迂闊に近付くとやられちまう……」 「畜生、これじゃ手出しできねぇぞ……」  たとえ身体が動いても、心が折れれば無力化する。  私の魔法を食らった奴も、そうでない奴も、その威力を警戒して動けなくなっているようだった。  こうなれば、あとは親玉をどうにかするだけだ。 「さあ、あなたの子分たちは戦意喪失しているみたいよ?  どうする? たったひとりでも私に立ち向かってみる?」 「ぐぬぬぬぬ……。舐めやがって……。  この俺様が尻尾を巻いて逃げ出すとでも思ってやがるのか!? かくなる上は……!!  うおぉおおおおぉおおおおお!!」  親分はそんな雄叫びとともにこちらに突っ込んできた。
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