第1話『とある"魔女"の追放』

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 閑話休題。本題に戻ろう。 「あら、私はてっきり身ぐるみをはがされて、裸一貫で夜の街に放り出されるものかと」 「どこぞの賊でもあるまいし、そんな無法な振る舞いなどするか!  ここは穏便に"留学"してもらうのが、ローレンス家にとって最良なのだよ」  なるほど、確かに表向きは"留学"ということにしておけば、不審に思う者もいないだろう。  それならローレンス家の名に傷をつけることなく、邪魔者を排除できるというわけだ。 「ともかくだ、転入の手続きもすでに済んでおる。  学費もまあ、最初の1ヶ月くらいは出してやろう。あとは自分で稼いで、なんとかするがいい。  それから明日の朝には馬車が迎えに来る予定になっている。今晩のうちに支度をしておくことだな!」  そんな短いやり取りだけで、私はまだ16歳の身で父から離縁されてしまった。  あまりにもあっという間で、あまりにも呆気ない結末に、なんの感傷も湧かなかった。
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