72人が本棚に入れています
本棚に追加
閑話休題。本題に戻ろう。
「あら、私はてっきり身ぐるみをはがされて、裸一貫で夜の街に放り出されるものかと」
「どこぞの賊でもあるまいし、そんな無法な振る舞いなどするか!
ここは穏便に"留学"してもらうのが、ローレンス家にとって最良なのだよ」
なるほど、確かに表向きは"留学"ということにしておけば、不審に思う者もいないだろう。
それならローレンス家の名に傷をつけることなく、邪魔者を排除できるというわけだ。
「ともかくだ、転入の手続きもすでに済んでおる。
学費もまあ、最初の1ヶ月くらいは出してやろう。あとは自分で稼いで、なんとかするがいい。
それから明日の朝には馬車が迎えに来る予定になっている。今晩のうちに支度をしておくことだな!」
そんな短いやり取りだけで、私はまだ16歳の身で父から離縁されてしまった。
あまりにもあっという間で、あまりにも呆気ない結末に、なんの感傷も湧かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!