第5話『何故か懐かれました』

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「まあ私としては今すぐ立ち去ってくれれば、これ以上はーー」  私がその台詞を言い終える前に、奴らの身体はすでに動いていた。 「よし、撤退だ! お前らずらかるぞ!!」 「「「お、おおー!!」」」  そう言って山賊たちは姿を消していった。まさに脱兎のごとくだ。  ……逃げたわね。尻尾をとぐろに巻いて。  まあ、それよりも私としては、それよりもペチュと御者さんのほうが気になった。 「ペチュ、もう大丈夫よ」  私はペチュのほうを見ないで、そう口にした。  きっと彼女は今も怯えているはずだ。それは山賊にじゃなくて、私に対して。  こんな"魔女"なんて恐れて当然だ。私は彼女の発するどんな言葉も甘んじて受け入れよう……。  時間に直せば数秒のことでも、彼女が口を開くまでの時間は永遠のように感じた……。 「す」  ……す? 「っごーーーい!! すごいよすごいよ、フローちゃん!  今のってフローちゃんの魔法だよね!? こんなにすごい魔法、初めて見たよ!!」 「へ? そ、そう?」  それは予想外の反応だった。
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