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……嫌気が差す。先程までの憐憫の瞳も、この冷酷な瞳も、どちらも真実の色をしていたから。
つまり彼女は、私のことを憐れみながらも、この家には不要な存在、……いや、邪魔な存在だと認識しているのだ。
そもそも私は、この家に生まれてくるはずじゃなかった。政略結婚によって生まれた子供だと聞いている。
そのうえ、私には"ある才能"がある。――それが魔法の力だ。
私は"魔女"だ。父と姉たちによれば、かつて聖女と戦い、そして敗れた魔女の"因子"が、私の身体に組み込まれているのだという。
それはこの家にとって、……いや、この世界にとって忌まわしき存在である証なのだ。私は私自身を呪いたくなる。
そもそもそんなものがなくたって、私はこの家にとって不要な存在なのに。それなのに、どうして私にはこんな力が与えられたのだろう。
……嗚呼、神様。どうか教えてください。
悪役令嬢に魔法の才能は必要でしょうか?
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