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第1話『とある"魔女"の追放』
「フローリアよ、お前を追放する!」
父にそう告げられたとき、私は特に驚かなかった。何せ私はこのローレンス家の末女のうえに、側室の子供だ。
加えて上には3人の姉がいて、彼女たちは全員正室の子供である。
「理由は言わなくても分かるな? お前はこの家には必要ないのだ!」
父であるラッカセイ伯爵にそんなことを言われるまでもない。父が私を追放しようとする理由は明白だ。
それは彼の正室の娘であり長女のドロシー・ローレンス、――つまり私の異母姉のためである。
どうやら父は彼女に家を継がせたいと考えているようだ。そのため、私の存在が邪魔になったのだろう。
しかも、それは私の"ある才能"も関係しているに違いない。
「そうですか。それじゃあ、今までお世話になりました」
私はそれだけ言い残し、父の書斎をあとにしようとした。父だってこれ以上話すことなどないだろう。
それに私は、この先ひとりでも生きていける自信があった。いざとなれば、自分の力を見世物にすればいいだけだ。
だから今後の話をする必要もない。そう思ったのだけど――。
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