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12.ジェニー王女side
「このバカ娘!」
お父様は怒りで顔を赤くして私を怒鳴り散らしたわ。
「お父様……」
「自分が何をしたか解っているのか!」
「でも……」
「言い訳をするな!仮病を使うだけでなく男と一夜を共にするとは!恥を知れ!」
「一夜って……」
何を言ってるの?男ってフレッドのこと?
「しかもなんだ!昼近くまで寝室に籠っていたというではないか!お前は何を考えているんだ!!」
お父様の言葉にお母様は泣きだしてしまうし。もう!なんでこんな事に……。
「お、お父様、男って言ってもフレッドよ?」
「だから何だ!?」
「なにって……。私とフレッドの間に何かがあるわけないじゃない!」
「ふざけるな!!!」
きゃ!? なんで殴るの!?
「お、お父様……なんで……」
「何故だと?お前は本気で言っているのか!?オーファンラスター公爵家の倅が相手だろうと未婚の王女が男を寝室に引き込んだことの意味を本気で理解していないのか!!?」
「だ、だって……」
「ああ、確かにお前とオーファンラスター公爵家の倅は親しい。幼い頃は兄妹同然だった。だがな、お前達は本当の兄妹ではない!」
「幼馴染よ!!」
「そうだ!幼馴染だ!赤の他人だ!家族でもなんてもない!!」
「で、でも……」
「他人の男女が一夜を共にしたんだ!第三者がそれを見てどう思う?何もなかったと思う者は皆無だ!」
「そ、そんな」
「よしんば何もなかったとしても周囲にはその様には見えるか?幼い子供じゃないんだ。お前達が男女の関係だと、関係を持ってしまったのだと皆が思って当然の行為だ!!」
お父様は何を言ってるの?意味がわからない!なんで私が悪いってことになってるの!?
「本当に愚かな事をしてくれたものだ……」
「お父様……」
「私の、私達の育て方が悪かったのだろうな……」
お父様はそう言って項垂れてしまった。
項垂れるお父様の姿を見て私は漸く事の重大さを理解した。
私、なんてことをしたのかしら……。そうよ。お父様が言っていたように年頃の男女が寝室で一夜を明かして何もないなんて誰も思わない。フレッドとは本当に何もない。でも誰がそれを信じるというの!?
普通は信じられないわ!
幼馴染だから何もないなんて、信じられないに決まってる。
そ、そんな……。
どうしたらいいの?
こんな事になるなんて思わなかった。
私はちょっと彼女に意地悪したかっただけ。
あの澄ました顔を歪ませたかっただけなのに……。
それだけだったのに……。
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