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21.側妃付きのメイドside
「ねぇ、聞いた?王太子殿下とミレイ側妃様の一件」
「聞いたわよ。流石にアレはないわよねぇ」
「帝国貴族の令嬢の家紋を使ったって?常識的にないわよ」
「あ~あ、これで王太子殿下も終わりかもね」
「え?」
「だってそうでしょう?流石にこのままって訳にはいかないわよ。だから謹慎処分受けてる訳だし……公の場に出られないし……」
「「「えぇぇぇぇぇぇ!!?」」」
「……なんで皆して驚くのよ?」
「だ、だって!少しの間じゃないの!?」
「わ、私達はそう聞いたわよ?」
「そうそう、帝国側の面子の為だって。少し我慢してればいいって……」
「誰から聞いたのよ……そんなデマ」
「誰って……王太子殿下が言ってたし」
「私は側妃様よ。イチャモン付けられたって怒りながら言ってたんだから!」
「違うの?」
「……そんな簡単な問題じゃないわよ。だって怒らせたのは帝国の公爵令嬢よ?うちの国の貴族じゃないのよ?どうにでも出来る相手じゃないわ。今回ばかりはお偉方も王太子殿下をそのままって訳にはいかないんじゃない?私達も貧乏クジ引いちゃったわよね。側妃付きでも王太子殿下の寵愛深い妃だから正妃にはなれなくても世継ぎの母にはなれるって言われてミレイ様付きになったのに。これじゃあね。こんな事なら他の王子付きになってれば良かった」
メイド達はその後も愚痴を言いあっていた。
自分達の進退に関わる事だったのでそれも当然の事だった。
自らの身勝手な言動によって孤立していく王太子殿下とミレイ側妃。
愚かな二人はそれに気付いていない様子。元々、人の心の機微に疎かったお二人なら仕方のない事なのでしょう。
どうやら思った以上のお花畑のお二人で逆に周囲のメイドや侍従の方が頭を痛めている始末。
自分達付きの使用人がギスギスした雰囲気でいるというのに一向に気付く気配すらない。場の空気を読めないというか、気にしていないというべきか、それとも読もうとしないのか分からない。それでも周囲に気を配り自分達がどういう風に見られているのかをもう少し気にかけてさえいればこの様な事にはならなかった筈なのに……お二人とも幸か不幸かお互いしか見えていなかった様ですし、自防自得というもの。
ええ、私は何もしていません。
たまたま、ミレイ側妃がドレスのデザインに悩んでいたからアドバイスをしただけ。
たまたま、ヴァレリー公爵令嬢のドレスデザインを知ったから参考がてらに話しただけ。
たまたま、ドレスは別の令嬢が着るというのを話さなかっただけのこと。
だって全ては偶然に起きただけ。
最近、忘れっぽくなってきたので気を付けないといけないわね――というだけの話。
確認を怠って自ら破滅の道に足を踏み入れている事にも気付かなかったのは彼らの責任なのだから……自業自得とはいえ哀れな方達だこと。
あの王太子は国王としての器ではない。
この国に必要ない存在。
お前が選んだ女と共に地獄に堕ちろ!!
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