28.第三王子side

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28.第三王子side

 僕はアクア王国の第三王子としてこの世に生を受けた。  僕をよく知るごく少数の者達は「自称病弱王子」と呼ぶ。  だけど実際、僕は病弱だった。  幼い頃は、体の弱い子供だった事は事実だ。  もっとも病弱といっても何かの持病がある訳ではない。ただ、よく熱を出していた。季節の変わり目には恒例行事か?と思う程、風邪にかかる。とにかく体を崩しやすい体質の子供だった。  今思うと子供だから熱を引きやすいのは当たり前ではないのか?と思う。  それでも僕の母や乳母が言うには、他の子供に比べて免疫力が低かったのは否めなかったらしい。  しかも、だ。  厄介なことに、その当時は他の王子達とも交流していた。  そうして何故か僕が風邪を引くと『一番目の兄が直ぐにうつってしまう』という悪循環を繰り返すようになってしまった。  次兄は大丈夫なのに。何故か長兄だけが風邪で寝込む羽目になったのだ。  子供時代は自由だった。王子だからってそこまで束縛はなかった。まあ、年齢的に幼かったからだろうが。長兄は子供の頃から好奇心旺盛で、風邪を引いたからといって大人しくベッド  で過ごすような子供ではなかった。おかげで風邪を拗らせて倒れるのがお約束の流れだった。何度か肺炎で死にかけていた。長兄の実母。つまり王妃殿下は「子供だから風邪を引きやすいのよ」と言って気にしなかったが、逆に周囲が気にした。国王陛下、大臣、王宮の侍従に侍女達。それと王妃殿下の実家。  あからさまではなかったが、王太子である長兄と僕が交流する事を好ましく思っていなかった。  まあ、僕の風邪が長兄にうつって死にかけるパターンが何度も繰り返されれば当たり前だが。  大人達が僕と長兄を会わせる事を躊躇うようになるまで、あまり時間はかからなかった。王妃殿下が亡くなるとそれは顕著に表れ始めた。要は隔離だ。僕の療養のため、という表向きの理由はあったが、長兄に病がうつらないようにするための処置だと薄々みんな分かっていたに違いない。そうなってくると、元々微妙な立場の次兄が長兄の傍から離れたのも仕方のないことだろう。だって血筋的には次兄の方が上だ。この国の人間は気付いていないが、次兄の実母である側妃の母国から何らかの圧力があれば、この国は一溜りもない。まあ、そういう無茶な要求をする国ではないし、砂漠の国だから水の国であるこの国に配慮してくれているから今のところ無茶な要求はないが、用心に越したことない。  そういう訳で、長兄との接触はなくなり次兄もまた長兄とは最小限の付き合いになっていった。
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