6.噂1

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6.噂1

  「ねえ、聞いた?」   「えぇ、聞きましたわ!」   「信じられませんわ」   「まさか……」   「本当よ。王女殿下の寝室からがフリッド様が深夜に出て来られたんですって」   「まあ!!」   「そういえば心なしか王女殿下のお腹が大きくありませんこと?」   「えっ!?」   「それって……ひょっとして……」   「懐妊されているという噂ですわ」   「「「……」」」   「王女殿下とのご結婚は近いかもしれませんわね」   「「「きゃー」」」    令嬢達が盛り上がっている一方で、大人たちはというと―― 「「「「「……」」」」」   「「「「「嘘だろう(でしょう)!!!?」」」」」   「本当らしい」   「王女が妊娠なんて」   「ありえん!」   「ですが……確かに腹が膨らんできているらしいですよ」   「オーファンラスター公爵家の倅は何をやってんだか……」   「しかし、これは不味いぞ。オーファンラスター公爵家の息子は帝国貴族と婚約中だ」   「王女殿下の方が深刻だろう!未婚の……それも王女が子を孕むとは言語道断だ!」   「それも大変ですが、問題は王女様にも婚約者がいる事です!このままでは婚前に妊娠したことが公になりますわ。そうなれば国の威厳に関わります!」   「……なんとか穏便に婚約を解消する必要がある」   「だが、どうやって?そもそも婚約解消に応じるのか?応じたところで……どうなる?向こうの国にしてみれば顔に泥を塗られたも同じ。我が国との同盟破棄も考えられるぞ」   「くそっ、どうすればいいのだ!?」   「いっそのこと、黙って婚姻させてしまえばいいのでは?」   「馬鹿を言うな!そんな事をしてみろ。この国は終わりだ!!」   「だが、このまま黙っているわけにはいかぬ!」   「それは……」   「まずいな。早急に手を打つ必要がありそうだ。ブランシュ嬢の留学期間も残り僅かだし、何か手を打たねば……」   「そうだな」   「うむ」   「だが、この事は極秘事項とする。他言無用だ」   「わかった」   「承知した」  こうして、それぞれの思惑が入り乱れるなか、ボルゴーヌ王国は不穏な空気に包まれていくのだった。
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