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9.噂4
それから数日後。
高位貴族が対処に動き出したようですわね。
私の悪評は表向き消え去る事でしょう。
まあ、消えなくとも構わないのですが。
それよりも例の件はどうなっているのかしら?
「そうですか……わかりましたわ。引き続き調査を続けてください」
「畏まりました」
「それと……これは私の個人的なお願いなのですが、ある人物の身辺を調べていただけないかしら」
「この件と関係があると?」
「いえ、深い意味はありませんわ。ただ……少し気になるのです」
「承知致しました」
「よろしくお願いしますわ」
どこの王家も色々と問題を抱えて大変そうですわね。
そう言えば……王女殿下の懐妊疑惑はいつの間にか立ち消えになりましたわね。
やはり噂は噂ということなのでしょうか?
それとも王家が何らかの手を講じたとか?
どちらも十分に考えられることですから、これ以上考えても仕方ありませんね。
「ヴァレリー公爵令嬢、本当に宜しいのですか?」
「勿論です。こちらの大学には飛び級制度があると伺っています。是非、私もその制度を利用したいと考えておりますの」
「それは構いませんが……」
「早く卒業する必要性があると判断いたしましたものですから」
「確かに、貴女の学力なら問題はないでしょうが……」
「では、手続きを進めて下さいませ」
「……はい」
学園長に頼んで留学期間を短縮させてもらいました。
本当はもっと長く在籍するつもりでしたが、状況が変わったので仕方ありません。
それにしても、この国は一体何を考えているのでしょう。
何故、私がこちらの国に嫁ぐという事になるのでしょう?
婚約契約の内容を読んでいないのでしょうか?
そもそも私はこの国の貴族ではありません。王命など出されたところで従う義務はありません。
一年も我慢したのです。
もう十分でしょう。
そろそろ、この国に引導を渡すべきでしょう。
私の卒業までに状況が変わるとは思えません。
悪化する事はあっても改善されることはないでしょう。
この国との縁を見直す良い機会かもしれませんね。
「お父様、話を進めてください」
これ以上、馬鹿達との交流は愚の骨頂です。
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