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「ロビー! お前、明日も俺に食いもんよこすって、さっき約束したからな」
「えっ?!」
「逃げんなよ!」
「そんな……」
ニニムがいなくなってから、ジェイは以前にもまして横暴だ。いじめる相手がいないせいで、暴れ足りないのかもしれない。それか単に、横取りするあてがなくなって食料が足りないのだとしたら。
(僕がニニムの身代わりに……? )
ジェイが巨体を揺らして去っていく。ロビーの空っぽの腹が、グゥーと鳴った。
もしかしたら今頃、ニニムはお腹いっぱいで昼寝でもしているだろうか。想像すると余計に、今の自分がみじめだった。
(僕もグリーンチューブに行こう!)
ロビーは決意した。扉のある辺りはならず者の溜まり場だから、できれば近寄りたくない。自分たちは出て行かないくせに、他の者が楽園でいい思いをするのを許さない連中だ。けれど、奴らが寝ている間に、そっと扉を押してみるだけなら大丈夫だろう。ニニムももしかしたら、そうやってここを逃げ出したのかもしれない。
決行は、夜。スラムの照明が落とされ、静かになってからだ。
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