悪女になんかさせない

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 それから日が暮れ、夜はベースキャンプで過ごすことになった。  火を囲みながら、アシュトンとロザリーとで3人で話をする。 「そなた、家族はどうした?」 「そういえば……」 (どうしてるのかな……? ここに来たの、私だけだよね……?)  家族の姿は見ていない。というか、この世界自体を知らないだろう。だからおそらくは、ここにはいないと信じたい。 「たぶん……いません」 「では……生まれた場所は?」 「神奈川……です……」 「カナガワ……? 聞いたことがないな」 「たぶん、この世界じゃありません」  こんなことが、今の日本で起きているわけがない。プリセシア王国も世界には存在しない。現在の世界では考えられない大きなフクロウもこの世界にはいるし、未だにインターネットの概念などない。どう考えても地球での文明レベルで言ったら産業発明時代のだった。 「大陸を渡ってきたのか? 一人で?」 「た、たぶん……」  だがそんなことを言えるわけもなく、ゆりなはなんとなくでごまかした。 「あの……ここは、なんて場所ですか?」 「スレーン国だ」 (スレーン国!? ってことは、まだ2巻目……)  国名でピンときたゆりなは、こっそりロザリーの紋章を盗み見る。  すると、やはり騎士団長ではなく副団長のワッペンがついていた。 (やっぱり……! じゃあまだ、ロザリー様が死んじゃうまで時間はある……)
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