1人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は戦争で家族を亡くしてな。父は戦争に出て数年帰らぬまま戦死の手紙だけが届き、業火から母と妹と逃げたんだが、少し逃げ遅れた妹をかばった母とともに、ふたりとも敵の鉄砲で死んだよ」
「そうだったんですか……」
(そういえば、どういう経緯でロザリー様が戦争孤児になったのか、私知らなかったな……)
「だからだろうな、そなたを捨て置けなかったのは」
「ロザリー様……」
「戦争なんてこの世からなくなればいいのに」
「……」
ロザリーの言葉を聞いて、ゆりなの中で12巻のシーンが蘇る。
(戦争に導いたなんて……ロザリー様が、一番戦争を憎んでいるはずなのに……!)
「さて、そろそろ寝ようか」
「はい……」
ゆりなの感情の変化を感じ取ったのか、ロザリーは優しく微笑んで促してくれる。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
ゆりなはロザリーに借りた毛布を抱きしめて、頭を下げたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!