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そこまでを読破したゆりなはぽろぽろと涙を流した。
(どうして……? 作者はロザリー様のこと、嫌いなの……?)
ゆりなは人生で一番の推しキャラクターが、しかも戦死や寿命ではなく斬首という方法で死んだことを受け入れられず、自失茫然としていた。
そこでスマホが震える。12巻をすでに読破した仲間からの心配のDMが届いていたのだった。
『ゆりなちゃん、大丈夫……?』
『まさかの展開すぎてびっくりだよね……』
『大丈夫、まだ絶対に死んでない……!』
その励ましのDMを読んでも、何も感情が沸き起こってこない。
ただ、頬から大粒の涙が溢れてくるだけ。
(私、この先なにを楽しみに生きていけばいいの?)
あふれてくる涙を止められずに、ゆりなはベッドに突っ伏せた。
(こんなことになるなら、ロザリー様を好きにならなきゃよかった……)
(先に結末を知らせておいてよ……)
できないことだとわかっていても、そう思ってしまう。
ゆりなは枕を濡らしながらわんわん泣いた。そしてそのうちに、泣きつかれて眠ってしまうのだった───。
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