夢浸りの夜

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 毎日同じ夢を繰り返す。まるで誰かが意図的に仕組んでいるような。 その夢で起きるたびに俺の心臓が脈を打つスピードが速まり、無性に汗が出る。けれど俺はその夢のことを思い出せない。  俺は辛かった。痛かった。腹が立った。 ――今日、俺は昨日ネット通販で購入した大量のカフェインを全て胃に放り込んだ。水っぱらになっただけで最初は何ともなかった。  けれど、時間が経ってくるとだんだん体中が震え出した。心臓の鼓動が速まったのも分かった。 頭が痛くなってきて嘔吐し、やがて倒れてしまった。 「今日、俺は死ぬのかもしれないな」 黒い靄の中から女性の顔が浮かび上がった。 「そうか……そうだったんだな」 「母さん……僕を、迎えに来てくれたんだね」  それから俺の意識が戻ることはなかった。
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