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ソレは突然だった。
なんだいなんだいなんだってんだい?、私は今こうしてようやく、最終回を見る決心を付けたというのに。スピンオフのお知らせかい? やれやれキリがないね。キリが無いとも。まったく。あんまりスマートじゃないよそういうの。
――まぁ、
「助かった……ケド、」
「ん! ンブね! スェブ!」
"あぶない。せーふ!" かな。
久しぶりの弾丸言葉が、今だクラクラしている頭に浴びせられて、へばりついていた狂気を洗い流してくれる。いっちょ前に悟ったつもりになって漆を呑んだ腹に、容赦の無い腹パンが浴びせられたんだ。
「ありがと……ミテナちゃん」
「ういうい! 間に合っちゃ!」
独特の返事にはにかんで上を向く。
包帯と絆創膏が過剰積載された美しい暗褐色の顔が、コチラに微笑んでくる。
凄い。凄い癒やされる。なんていうかこう、うん。ダメだ語彙力が融けた。
「アブぬぇ!」
彼女の顔から笑顔が消える。
半壊の脳で反応するまもなく身体が揺すられ、そのまま右を閃光が走った。
チリチリと熱を帯びた空気が、肌に触れる。
「……まだ元気で――
「下見ンデネッ!!」
すさまじい剣幕だった。
思わず閃光の出所を確かめようとした私の首に、強く叩きつける声だった。
意味は理解出来なかったけれど、私はその怒鳴り声に縛り付けられて、ただ「はい、」とだけ漏らして。後はじっと彼女と目を合わせた。
「はよ死ねヤ"! 往生際が悪いんじゃ!こん)R#JFgq@え「うあw*:!」
向くなと言われた下の方、彼女と一緒に復帰したのか、ノイマンの汚い罵声がこだます。
訛が強すぎて意味不明な後半に苦笑いを浮かべるも束の間、"バツン! バツン!" と何度も、鋭い破裂音。
「え、えと……え?」
ねだるようにミテナちゃんの方を見る。
「マドゥ、」
「で、でも……」
「マイネ!、」
「て、え~~っと、」
「…………ん、。ヨㇲ」
待ちわびたその許可は、私にとっては待ちわびたゴチソウだった。垂れもしないヨダレの代わりに血まみれの翼で血を拭い、食い入るように首を下げた。
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