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配達員、ソレが私の仕事。
空を飛べば炎を吐くドラゴンが、大地を歩けば山を背負う巨獣が、海を泳げば氷河を削り進む怪魚がひしめいている。そんな少しばかり、いや大分人類が背伸びしづらいこの世界では、中々大変でリスキーで、けれど大切な仕事。
遠く離れた人と人を結び合わせるため、命も省みずに古今東西、四方八方を飛び回るのだ。
――そう、飛び回るんだ。
蒼謡翼、ソレが私の種属。
翠や碧の色で構成された美しく大きな翼は、この大空を飛び回る自由の証明。炎さえあれば浮かべる気球や、多くのモノを運べる飛行船なんかも最近はボチボチ見かけるようになったケド、それでもまだまだ商売敵にはほど遠い。依然として早さも手軽さもノウハウも全部勝ってる。専売特許というヤツだ。
じゃぁなんでそんなご飯の種に困らなさそうな仕事をしているハズの私がこんな目に遭っているかというと、ソレは "背伸び" をしたからだ。
約一ヶ月前、近道の海域を越えて荷物を運んでいたところを、縄張りに侵入されたと勘違いしたバカたれランチャーフィッシュにズドン!!されてしまったのであります。
右翼に開いた風穴を魔法と回復薬でゴマカしながら、何とか海岸まで飛びきったものの荷物をロスト、おかけで労災は降りなかった。
冗談じゃない! と憤るもつかの間、保険に入ってなくてホントに冗談で済まなかった。入院代が……
気が点いたらスッカラカン、すぐに気がオフになるかと思った。元から別に裕福とはほど遠い暮らしをしていたにせよ、流石にホームレス寸前の暮らしにも限界が来ていた。
ようやく治った傷、すぐに再発はよしたい。多少メンドさはあれど簡単なモノから。そう考えてやってきたのがココ、国一番の大都市、ツェーモンドの噴水前広場なのだ。
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