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大学生の姉ちゃんはその昔、ヤンキーであった。
ライオンより金色の髪をして口にピアスをぶっ刺していた姉ちゃんはいつの日か突然、勉強するようになった。勉強して勉強しまくって、あたしも知っているくらい頭が良い高校に合格し、昨年から関西人なら誰でも知ってる私立大学に通うようになった。
いつ姉ちゃんがヤンキーから優等生になったのかは覚えていないし、なにがどうなったのか理由もしらない。でも、家で「やんぞてめえ」って電話ばかりしてた姉ちゃんより、今の姉ちゃんのほうがあたしの目には幸せに映る。口調にまだ名残があるけれど。
お母さんがキッチンでゴミを集めていた。生ゴミが多くてめんどくさそうだ。
「お母さんっ、暴風警報やったら休みんなるんやもんね?」
お母さんはあたしより先に職場に向かう。ごみ袋を乱暴にしばって忙しなく食パンをかじりながら、うなじにかかった髪を結いあげていた。
「んーー、わざわざ保護者LINEで来たからそうなんちゃう?」
「中間でもやんね?」
「知らんけどそうなんちゃう? もう出るから虹子このゴミ出しといてよ? 日葵は洗濯もの干しといて。いってきまーす」
お母さんはカウンターにのせた黒いバッグを肩にかけて玄関へ駆けていった。
「いってらっしゃーい」「いってらー」
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