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壱
風美の矢が黒曜に向かって飛んでくる。
そんなもの矢が当たる前に燃えて塵になるだろうと豪語していたが、風美の矢の先端に付いていた賭爆種が弾け飛んだ。
【賭爆種】は熱に異常に強く、火山等に咲く花の種だ。逆に水に弱く溶けやすい。
まさか燃えもせずに弾ける植物の種があるなんて知らなかっただろう黒曜の目に賭爆種の破片が突き刺さる。
目を潰された黒曜はよろめきその場に崩れる。
「·····あの···小娘ぇ·····」
「きゃー黒曜様。私、風美って言います。ちゃんとお名前覚えたかなー?」
なぜ故機械的な喋り方で棒読みな煽り方なのだろうか。
「ただ歩くだけで草木燃やすとか植物の敵」
「····そう」
歩くだけで災害を引き起こすような奴はさっさと粛清するべきだと風美は冷めた目で言う。
「お前は····殺すっ!」
「御立腹よ」
知っている。
目は見えないが、声と感覚だけで黒曜は風美に向かって走り出した。
「うわ!目ぇグロ!キモ!!こっち来んな!!」
煽りながら走る風美もララの影響を随分と受けているなと、思う白雪も一緒に走り出した。
「待たんか!小娘共ぉ!!」
連帯責任で白雪にまで被害が及んだ。
「翠様」
「わかってる」
念話で白雪が合図を送った。
手に持つ石棒に力を込めて、ほんの少しだけ鬼の神力を混ぜる。
白雪の凍らせた出入口を破壊するだけでいいのだ。
「せーのー!!」
---ドゴォンと、大きな音と共に出入口が翠の手によって粉砕される。
それと同時に大量の水が御所内から噴射する様に飛び出してきた。
できるだけ白雪と風美、他の仲間は黒曜から離れ結界を作り出した。
激流の様に流れる水は二人を追いかけていた黒曜に向かって流れていく。
「!?」
水が黒曜までたどり着いた瞬間だった。
水蒸気爆発が起き、周りの木々や岩、結界を張っていなかったもの達は吹き飛んでいく。
激しい爆発の後、段々と静まり返り、落ち着きを取り戻した後、黒曜のいた場所は大きな陥没が出来てそこに真っ黒い塊があった。
ヂリヂリと灰のように粉になって消えていくソレは恐らく黒曜だったものだろう。
「すっごい爆発····」
御所は四氷が作り出した結界と翠が作り出した結界の二重構造により無事だった。
「翠様!」
ご無事ですかと揚葉と紫が駆け寄ってくる。
この通りピンピンしていると翠が笑った後、真面目な顔になり「水神の寝所に案内して」と二人に言う。
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