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翠達が水鞠と黒曜と戦っていた頃、ララは風巻と刀を交じり合わせていた。
風巻の部下達はティティスが相手をし、一体一での戦いに配慮してもらった。
「子供····貴様あまりにも強すぎではないか?」
本当に子供なのかと疑いをかけてくる。そもそも男なのか女なのか性別も分からない。
「見た目は子供。頭脳は大人!」
何処かで聞いた事のある台詞で目の前の子供はいたずらっ子の様に笑う。
振りかぶった風巻の刀の上に乗り手を振れば、今度は振り上げられてクルリと身体を空中で一回転させて刀から降りる。
風巻が突きを喰らわせて来た。ララはそれを大剣で塞ぐが、子供の身体の為に吹っ飛んだ。
「·····なっ!?」
巻き戻しで戻ってきた事など風巻には分からないだろう。ほんの一瞬、瞬きをする間に戻ってきて袈裟斬りをされたのだから。
御所の中に翠が侵入した事により水鞠の分身はそこにはいない。回復が出来るものが傍にはいない。
「悪ぃなァ。うちの翠ちゃんがどうしても親父の寝所の寝所見たいって言うもんだからさァ」
親父の寝所と言う言葉に風巻は「なんの事だ」と、理解が追いつかなかった。
分からないままつむじ風の様に風巻の身体は消えていった。
「さて、地下牢の方へ行ってみるかねぇ····」
御所を眺めながらララは呟いた。
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