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僕と木村は中学校に入ってから出会った。
部活見学で野球部を見に運動場へ向かっていた。すると、声変りがまだ始まっていない、まるで少女のような高い声で「お前も野球部?」と話しかけてきたのが木村だった。
ぱりっとノリのきいたぶかぶかな学ランに身を包み、くりくりとした目で僕を見上げてくる。
小学校時代から背の順に整列すると前から5番以内に入る僕よりも、木村は小さかった。
「うん」とか「ああ」とか僕は答えて、お互いの小さな体を寄せ合うようにして、僕らは野球部のグランドにぴょこぴょこと向かった。
木村は、野球がすさまじく下手だった。
振ったバットは大きく波を打ち、ボールはかけ離れたところを通過していった。グローブの中にボールが収まることはごく稀で、いかなるボールも、弾いて落とすか、掠ることなく通り抜けていく。足は誰よりも遅く、どんなに足を回転させても、歩幅が小さいからか、空回りするチョロキューのように進まない。
それでも木村は野球が大好きだった。
球拾いを先輩に命じられても、ボールをポロポロとこぼして監督に怒鳴られても、試合の間ずっと声を出すだけで一日が終わっても、瞳をキラキラと輝かせて、野球部であることを楽しんでいた。
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