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あなたは人生に絶望していた。
幼い頃から自分には悪い事ばかりがおきる。
そう言って涙を流しながら、私に過去を話した。だから私はあなたの過去に会いに行く事にした。
小学生のあなたは笑顔で大好きな犬を連れて走っていた。でもあなたが石につまずいて転んだ拍子に犬の綱が手から離れ、犬がそのまま走って行ってしまう。本来ならこの後に犬が車に轢かれて死んでしまうのだが、私が犬を捕まえてあなたの所へ犬を連れて行った。あなたは笑顔で私にお礼を言い去っていった。
中学生のあなたはスケートボードで遊んでいた。スピードをつけて怖いものなしで滑って行くあなたは、とても気持ち良さそうだった。
しかし、この先の交差点の所であなたは青い車にはねられて、これから一生足を引きずる生活になってしまう。私はあなたに声をかけて道を訪ね、その青い車が通り過ぎるのを待って「車には気をつけてね」と言いお礼を言って去った。
高校生のあなたには、あなたから聞いた万引の疑い事件はおこらなかった。
たぶん過去が変わってしまったので、あなたはその後にいじめを受ける事もなく引きこもりにもならずに、笑顔で野球部の部活動にはげんでいた。女子からも人気が出て、あなたはとても嬉しそうだった。
現在のあなたに会いに行った。
あなたは大学で学んだ設計の技術を活かし、設計事務所で働いていた。重要な仕事を任され、とても生き生きとして仕事をしていた。
両親が火事で亡くなる事もなく、プライベートのあなたには、とても可愛い女性が隣にいて一緒に食事をして楽しそうに笑っていた。
過去を変えた事で、私とあなたの接点は何も無くなってしまった。あなたと過ごした苦しいけれど少し穏やかだった世界はどこにもなく、私は一人になった。
でもこれでいい。寂しいけれど、元の世界では見る事が出来なかったあなたの笑顔がこんなにも見られて、私は満足なのだ。
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