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「あれ?人がいるぞ!!」
光の方へ振り返ると、そこには忙しなくバタバタと動く男が恒星のように光を放っていた。
「私か?」
「は?あんた以外に誰がいるんだよ。」
光の男はムッとして答えた。
「ちょっと待ってよ〜!あっいたいた。」
男の後ろから走ってきた女が追いついた。男はそれを無視しながら観察者に尋ねた。
「あんた誰?どっからきたの?」
その様子に観察者は目を細め、女は戸惑っている様子を見せた。
「君、また想像のお友達と話してるの?」
女はため息をつきながら男に聞いた。どうやら女には私が見えないらしい。それが普通だ。ここに訪れる99.9%はこの女と同じだろう。
「おーい、聞いてんの?」
男は忙しなく観察者の周りをぐるぐると回っている。
「…貴様には私が見えるのか。」
「うん、3つの目に蝙蝠みたいな羽、長い鼻。隅々まで見えるよ。」
男は元気よく答えた。
「もう、その辺で待ってるからお話し終わったら来てね。」
女は大きなため息をつき、男の光が届くギリギリの場所で腰を下ろした。
「私が見えるということは貴様は俗にいう天才なんだろう。」
天才…そう、天賦の才を持つものは私を認識し、対話が可能なのだ。
「え〜そう?今までバカとしか言われてこなかったからピンとこないよ。」
男はほんとにどうでもいいという様子で答えた。
「それよりもさ!この道の果てってどうやったら行けるんだ!?」
男は目を輝かせながら聞いた。
「…さぁ、言ったところで貴様には理解できんだろう。」
観察者は目を瞑り、そう言った。その途端、男の光がより一層強くなった。
「えー!!知ってんのか!!頼むよ!!教えてくれよ!!」
男は観察者にさらに迫りそう言った。嫌いだな、好奇心の光というのは。
「……はぁ、仕方ない。久しく話をできる者として特別に教えてやる。」
観察者は大きなため息をつき、再び目を合わせた。男の心音が聞こえてくるように感じ、少し気分が悪くなった。
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