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『君には街の変貌の理由を探ってもらうことと、失踪者の捜索ならびに救出をお願いしたい』
「まて。1つ目ははともかく、2つ目はどうなんだ?」
2人の仕事は決して便利屋ではない。なんでもかんでも依頼を請けるわけではないのだ。
「失踪者にしたって、本当にその街で失踪しているのかわからないだろう?警察に任せるべきじゃないのか」
『もちろん警察も動いているんだろうけど…』
「どうした?」
急に歯切れが悪い。何か気になる点があるようだ。
『ざっと調べてただけで、この人数だろう?なのに、警察は動いてる様子がないんだ。それどころか、どの媒体も報じていない』
確かに、それだけの人数が失踪しているなら、もっと世間で騒がれてもいいはずだった。少なくとも、マスコミがこんな美味しい餌に食いつかないわけが無い。
「全くか?」
『数件、記事が掲載されたことはあるが、すぐに消されているみたいだ。それも、だいぶ古いもので、最近のものは一切ない』
そこまでとすれば、情報統制がされていると、疑わざるを得ない。となると、やはりその男が関わっている街が絡んでくるのか。
『金でも積まれたか、弱みでも握られているんだろう』
「となると、国絡みかもしれないのか。厄介だぞ」
もし本当に国が絡んでいたら、自分たちのような立場の人間が捕えられても誰も見向きしないだろう。秘密裏に"処理"される未来しか想像できなかった。
『一応、依頼人や知り合いのジャーナリストには、事情は説明してある。ピンギーは街の発展の裏と、失踪者に関する情報を見つけて欲しい。それを記事に出来れば、命まで奪われはしないはず』
安心はしきれないが、まぁ、仕方ないかと、納得する。
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