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「わかった。やれることはやってみよう」
ピンギーは覚悟を決めたように言った。
『いいのかい?』
しかし、無線越しからはなぜか驚く様な反応を返ってくる。
「どうして驚く?」
『いや、いつもなら「そんな危ない依頼請けられない」って断ってたから』
「そうか?気のせいだろう」
具体的な理由はいらない。それだけ信頼していたのだ。
『気のせいって―』
「それより、どうすればいいんだ?」
情報を得られても、それをやり取りできなければどうしようもない。失踪が事実だとするなら、ピンギーだって出られないかもしれない。
尋ねると、ちょっとまってて、と無線が切れた。
すると、目の前に、1匹の猫が近づいてくる。二足歩行だった。両手で携帯端末を持っている。
「なんだ?」
『わかるかい?ピンギー』
猫から声が聞こえてくる。一見、本物のように見えるロボットだった。
『今回の依頼、この形で手伝わせてもらうよ。名前はそうだな、フェレースでどうかな』
「どういう意味だ?」
『猫って意味だよ』
自分こそ安直じゃないか、という言葉を飲み込む。
「その端末は?」
『この端末で、情報を送って欲しい。こちらから何かあればそれに情報を送る。あと、街中で無線での連絡がとれるかわからないし、なにかあればこれで連絡してくれ』
わかった、とピンギーはその端末を受け取った。
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