第4話

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第4話

 はっ、と目を覚ました。  スマホのロック画面を見る。  4月28日。  アラームよりもかなり早く起きてしまった。 「…………」  不思議と眠気はない。  夢見が悪かったせいだろうか。  ────誰かに殺される悪夢を見た。 (私の首を絞めてたのは、誰……?)  少しだけ息苦しいような気がした。  思わず首に触れるが、当然気のせいだろう。  余裕をもって朝の支度をし、理人からのメッセージが来る前に家を出た。  門前で先に待っていた私の姿に、彼は少し驚いたように目を見張る。 「おはよう、菜乃。今日は早いね」 「おはよ。何だか早く目が覚めちゃって」  理人と二人、並んで歩き出した。 「怖い夢見ちゃったんだー」 「夢なんて気にすることないよ」  眉を下げた私に、理人は優しく微笑んでくれた。  ぽん、と頭に手を載せられる。  私が落ち込むと、彼は昔からいつもこうしてくれる。  朝の柔らかい陽射しに照らされ、その温もりは尚さらあたたかく感じられた。 「そうだね。……あ、今日もお昼一緒に食べられる?」 「そうしたいところだけど、今日はクラス委員の集まりがあるんだ。菜乃、先食べてていいよ」  残念に思いながら頷こうとしたとき、理人が「あ」と声を上げる。 「たまには教室を出てみるのもいいかもよ。中庭とか、今日あったかいし」  確かにそれは新鮮な提案だった。  私はほとんど教室を出ないし、出ても移動教室かお手洗い程度のものだ。  あるいは理人と一緒にいることがほとんどで、一人で行動したことは数回しかないかもしれない。 「……うん、行ってみようかな」  校舎は中庭を囲むようにロの字になっている。  中庭ならどの位置からでも目に入るし、集まりを終えた理人もすぐに来てくれるだろう。 「終わったらすぐ行くよ」  私の心を読んだかのように彼が言った。  思わず小さく笑い頷く。  学校へ着く頃には夢のことなどすっかり忘れ、鬱々としていた気分も晴れた。  昼休みになると、私は窓から中庭を見下ろした。  ざわめきと人にあふれている。  設置されているベンチも埋まっていて、割と混んでいるようだ。  このまま教室で食べようかと悩んだものの、結局ランチバッグを持って席を立った。  趣向を変えて、屋上の方へ行ってみようかな。  立ち入り禁止だが、もしかしたら扉が開くかもしれない。  そう考えると、少しわくわくした。  軽やかな足取りで階段を上っていく。不意に頭上で影が揺れた。  最上階へと繋がる踊り場で、思わず足を止める。 「……!」
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