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「傷つくなあ。ずーっと名前で呼んでほしいって言ってるのに」
「……ごめんなさい……。は、陽樹さん」
俯いて、真っ赤に染めた顔でそう呼ばれたら、拗ねてた気持ちなんてどこかに吹き飛んでしまう。
今度は正面から美南を抱きしめて、ちゅっと旋毛に唇を落とした。
「ありがと。でもそんなに恥ずかしがる必要ある?」
そう言うと、美南は赤く染まった頬を自分の両手でぎゅっと押さえた。
「なんだか、すごく特別って感じがして、恥ずかしいんです……」
ちらっと見上げてくる瞳が潤んでいて、もう我慢できそうにない。
今日は休みで。
二人で出かけようかって約束もしてたけど。
「ごめん、お出かけは無理かも」
「え……?」
戸惑う美南を抱えて、寝室へ向かう。
「え、え……?」
そのままベッドに降ろせば、まさか……という顔が見上げてくる。
「たまにはこんな休みの日があってもいいよね」
そう言って、美南が抗議する前に口づける。
これから先、こうやってベッドで過ごす休日が増えてしまうのは、また別の話。
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