1.あなたの瞳に

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1.あなたの瞳に

薄暗いオフィスにコピー機が延々と紙を吐き出す音が響く。 20名分のデスクが並ぶオフィスは、日中は活気に溢れているけれど今はからっぽ。 もうすぐ日付が変わる。 一人残業を押し付けられることには虚しさを覚えるけれど、他人の目を気にしなくて済む時間は好きだ。 上司の顔色を伺う必要も、同寮の女の子たちの噂話を聞くこともない。 「はーーーーーーっ」 美南は長いため息を吐いて、コピー機に突っ伏した。 明日の朝イチの会議で使う資料らしい。 随分前に決まっていた会議なんだから、資料の手配ぐらいさっさとやっとけっつーの。 ピーっという音を立ててコピー機が止まった。用紙切れだ。これから項目別ごとにホチキスで留めて、それをさらにクリップでまとめて、人ごとにまとめておかなければならないのに。 資料を作るところで気力も集中力も使い果たしているので、用紙をセットするだけの作業もひどく億劫で。 よっこいしょ、とか、はーとか、やれやれ、とかとにかく疲れた独り言が口をつく。 「もー、さっさと動いてよ」 追加した用紙をなかなか認識しないコピー機にいらついて、思わず足でがつんと蹴る。 まあ誰がいるわけでもないし、と完全に油断していた。 「朝霞?」 やばい、と思ったのは一瞬で。 それと同時に、室内が明るくなる。 眩しくて思わず目を閉じた。
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