5.飛び込む覚悟

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ーーーーー平日なのに、申し訳なかったな。 ただでさえ忙しいひとなのに。会いたいと思う気持ちを止められなかった。 子どもじゃないんだから、と自分に呆れてしまう。 こんな気持ちになるのが久し振りで、どう振る舞ったらいいのか忘れてしまっている。 ピンポーン、とインターフォンの音が響いて、我に返った。 エプロンを放り投げて、慌てて玄関を開けると、そこには今考えていたひとの姿。 「お、おかえりなさい」 よくよく考えれば、いらっしゃい、とかお疲れさまです、とか相応しい挨拶は他にもあるのに。 思わず零れた言葉に、陽樹はくしゃっと笑った。 玄関に体を滑り込ませると、そのままぎゅっと美南を抱きしめる。 上がり框のせいで、陽樹の顔がすぐ近くにあるのがめずらしい。 「ただいま」 耳許でそう囁くひとがとても愛しくて。 ぎゅっと広い背中に腕をまわした。
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