6.踏み出す一歩

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最初は人当たりの良いところに惹かれたのだと思ったが、残業中にこっそり観察すれば意外と一人では悪態をついていて、それがまた可愛らしく映ったものだ。 その結果が適当なものだったら許さなかったかもしれないけれど、文句を言いながらも彼女が出してくるものはいつも完璧だった。 人にはそんな姿を見せないところがまた良い。なんて思っていたら、気付けば想いを隠すことなんて出来なくなっていた。 「美南貸して。お皿拭くよ?」 並んでキッチンに立ち、彼女が洗ったお皿を布巾で拭いていく。 伏せときますからいいですよ、と美南は言ったけれど、なんだか並んで作業をするのが楽しくて、洗い終わった食器やお鍋は片っ端から拭き上げてしまった。 シンクまで洗い終わった美南は、 「こんなに片付けたの久し振りです」なんて言って笑いながら見上げてくるから、思わずちゅっとその唇にくちづけていた。 「ちょっと……!」 口をぱくぱくさせながら顔を赤く染めた美南に、「隙だらけ」と笑えば、ばしんと腕を叩かれた。
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