439人が本棚に入れています
本棚に追加
最初は人当たりの良いところに惹かれたのだと思ったが、残業中にこっそり観察すれば意外と一人では悪態をついていて、それがまた可愛らしく映ったものだ。
その結果が適当なものだったら許さなかったかもしれないけれど、文句を言いながらも彼女が出してくるものはいつも完璧だった。
人にはそんな姿を見せないところがまた良い。なんて思っていたら、気付けば想いを隠すことなんて出来なくなっていた。
「美南貸して。お皿拭くよ?」
並んでキッチンに立ち、彼女が洗ったお皿を布巾で拭いていく。
伏せときますからいいですよ、と美南は言ったけれど、なんだか並んで作業をするのが楽しくて、洗い終わった食器やお鍋は片っ端から拭き上げてしまった。
シンクまで洗い終わった美南は、
「こんなに片付けたの久し振りです」なんて言って笑いながら見上げてくるから、思わずちゅっとその唇にくちづけていた。
「ちょっと……!」
口をぱくぱくさせながら顔を赤く染めた美南に、「隙だらけ」と笑えば、ばしんと腕を叩かれた。
最初のコメントを投稿しよう!