439人が本棚に入れています
本棚に追加
淹れてくれたほうじ茶を飲みながら、今日あったことを話していると、あっという間に22時を過ぎていた。
そろそろ帰った方がいいんだろうな、と思いながらもなかなか立ち去り難い。
美南の家は、1DKで、ダイニングテーブルの置かれたスペースの奥に、ベッドとソファ、テレビなどが置いてあるのが見える。普段はあちらで過ごす時間が多いのだろうか、と考えていると、その視線を辿ってか、ぽつりと美南が呟いた。
「そういえば、テレビも付けないのってめずらしいです」
「ん?」
「普段一人だとまずテレビつけちゃうから。なんか新鮮で」
「俺も家だと結構つけちゃうかも。見てるわけじゃないんだけどね」
「三浦さんでも?」
「どういう意味?」
「いえ、おうちでも仕事とかしてるのかなって」
「さすがにそんなことないよ。メール返すくらいかな」
「へえ…」
「今度はうちにおいでよ」
話の流れでさらりと誘ったつもりだったけれど。
向かいの美南がびくりと身体を震わせたので、途端に後悔が襲ってくる。
最初のコメントを投稿しよう!