6.踏み出す一歩

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「そろそろ帰ろうかな」 「え?」 踏み込み過ぎたかと思えば、今度は途端に残念そうな声を上げる。 「寝るの遅くなっちゃうでしょ」 こんなに臆病になるのは久し振りだな、とその表情を伺いながら立ち上がった。 荷物を持ち、玄関で靴を履くと、ぱたぱたと追いかけてきてくれる彼女。 「じゃあまた明日会社で」 みつめるだけ名残惜しくなってしまうから、さらりと言ったつもりだった。 「あの!」 おやすみ、と続けようとした言葉は美南の力強い呼び掛けで止められた。 「あの、私も好き、ですから。三浦さんのこと……」 だんだんと小さくなっていく声。 それでも十分だった。 手にした鞄を投げ置いて、ぎゅっと抱きしめる。 「み、三浦さん?」 「嬉しい」 より力を込めれば、胸に寄り添ってくれる彼女。 「すげー好き」 ぽろりと零れた本音に、「私もです」と囁かれて。 ますます抱きしめる腕に力を込めた。
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