7.次の約束

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木曜日。海外とのミーティングが20時から予定されていた。海外事業課は、時差の関係でほぼフレックス勤務だ。時間外に働く者が多く飛び交う言語も様々なので、開始時間までは集中しようと、ノートパソコンを片手に会議室に篭った。 プレートを使用中に変えれば、定時以降はまず誰も現れない。腰を据えて仕事を進めたいときによく使う手だった。 時計の秒針の音だけが響く部屋。 まったく無音じゃないところが逆に集中できる。 溜まっていたメールを片っ端から開き、金額交渉やら許可申請など長々した英文を読み進めていく。 小一時間ほど作業をしたあたりだろうか。 ふと、手元のスマートフォンが震えた。 ーーー今日はもうお帰りですか? 美南からのメッセージだ。 思わず目を瞬いた。 おはようとかおやすみとか、毎日何かしらのやりとりはしているけれど、会社にいる間に美南からメッセージが来ることは珍しい。いや、むしろ初めてだ。でも向こうはこちらが既に退社していると思っているのか?と脳内が忙しなく動き出す。
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