7.次の約束

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「誰かいたらどうしようかと思ってドキドキしました」 「さすがにその状況で“来て”、なんて言わないよ」 「とは思ったんですけど。よく考える前に動いてたから」 そう言ってはにかむ美南に堪らなくなって、そっと引き寄せる。 会社だし、と思いながら緩く抱き寄せると、それだけで満たされていく。 「なんでうちの課来たの?」 「資料届けてくれって」 「そっか」 「なんて。本当は私の一日の頑張りだから見てもらいたいなって。デスク置きました」 「ん、戻ったらすぐ見る」 「でもそちらの専門じゃないですよ。参考資料です」 「それでも見る」 子どものように言い募れば、ふふふと穏やかに笑っている。 その表情を見て、ちょっと勇気を振り絞ってみた。 「週末なんだけど、うちに来て?」 少しでも躊躇う素振りがあったら無理強いはしないようにしよう、とじっと様子を伺った。 けれど一瞬の間の後、小さく頷く美南に、どきんと胸が高鳴った。 「いいの?」 思わず尋ねれば、美南は首を傾げている。 「あ、うん。嬉しいんだけど、この前さ」 気になっていたことを尋ねれば、ぎゅっと抱きつかれた。 「恥ずかしかっただけです……」 胸に消えそうな、小さく囁く声。 髪の隙間から見える耳は真っ赤で。 思わず旋風に唇を寄せていた。
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