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「全然物がないです……」
リビングに戻ってきた美南はなぜかしょんぼりしている。
「うーん、家じゃ寝るだけって感じなんだよ」
「よく身体壊さないですね……」
「逆に寝る時間だけは取ってるから」
そう言って、くいっと美南の手を引っ張る。
「寝室は行った?」
「え、いえ……」
「こっち」
緩く首を横に振った美南を連れて、リビングの奥にある扉を開いて電気を点けた。
多分緊張しているんだろう。頬を赤らめておずおずとついて来る様子が可愛くて仕方ない。
八畳ほどの室内には、ベッドとサイドテーブルしか置いていない。
煌々と明かりが点っているからだろうか、少しほっとした様子の美南の前で、クローゼットを開ける。
「ここ、美南が使って」
「え?」
「服とかなんでも置いていってよ」
「え?……え?」
「どうした?」
ぱくぱくと口を開けたまま呆然とクローゼットの中を見つめる美南に、ふと不安になる。
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