9.二人の時間

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「こんなに広いクローゼット、必要ないですって」 「でも元々空いてるんだよね。俺の服は全部書斎に収まってるし」 「私の家の服全部入れても多分まだ余りますよ」 「じゃあ全部持ってきたら?」 「えっと……?」 じっと見上げてくる瞳に堪らず、素早く唇を重ねた。 「ちょっと、三浦さん!」 身を捩った美南が頬を膨らませて睨んできたけど、それも可愛く映るだけなので、そっと自分の胸に引き寄せた。 「やだ?」 「やだって言うか……」 「ていうか?」 「その、展開が早くて付いていけていないというか……」 「うーん、そっか」 こちらはずっと美南を見ていたからむしろスローペースなぐらいなんだけれど、本人にとってはそうではないらしい。
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