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「それに、このままだと三浦さんに呆れられそうです」
「え、なんで?」
「実はすごいズボラだってバレますもん」
「ははっ。そんなことないだろ」
「ありますよ!幻滅されそう」
「それを言ったら俺も同じじゃない?会社でのイメージと違う、とか」
「いや三浦さんは多分大丈夫です……。家だってすごく綺麗だし…」
小さい声でもごもごと呟いている。
でも幻滅されたくないと思ってくれているということは、つまり好意があるということだ。
もちろん付き合っているわけだから好きでいてくれているとは思っているけれど、自分が彼女を好きな気持ちと、美南が自分に向けてくれている気持ちは、どうにもイコールだと思う自信がなかったから、些細なことでも嬉しかった。
「でも俺も美南に幻滅されるかも、ね」
「なんでです-」
最後まで言い終わらないうちに再び軽く唇を塞いで、そっと美南を抱き上げた。
そのままベッドに座らせて、とんっと肩を押す。
きょとんとしたままの美南はなすがままで、こてんと呆気なくベッドに倒れ込んだ。
その華奢な上半身に覆い被さる。
見上げてくる目元は潤んでいて、ひどく扇情的だ。
「いつでもこうしたいって思ってるから?」
カーテンの隙間から西日が差して、美南の頬を朱色に染めている。
「だめ?」
「……だめじゃない、です、けどっ」
きっと後で、と言われるに違いないと察して、その言葉を封じ込めるように口づけた。
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