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「警察に行くのはあなたです。彼女への嫌がらせメールと先程の会話があれば十分あなたのストーカー行為の証拠になります」
そう言ってメールをプリントアウトした紙と共にカメラを小野田さんに向けたのは窪田さんだった。
「お、お前どこかで会ったよな……」
「あ、覚えてくださっていましたか。では改めて、またお会いしましたね、小野田さん」
「そうだ……お前、俺とぶつかってカメラが壊れたとかなんとか言ってメンテナンスしたやつだよな。何でこんなところにいるんだよ」
私にはさっぱり分らない話が始まったので、黙って聞くことにした。
「そうです、原田さんにつきまとっているのがあなたかもしれないとあたりをつけたので、わざとぶつかって壊れたかもしれないからとメンテナンスを申し出て、カメラの中を確認させてもらいました。原田さんの盗撮写真が大量にあったので、うっかりあなたのカバンに私の盗聴器とGPSを落としてしまいました」
そう言って小野田さんのカバンを強引に掴むと黒い巾着袋を取り出した。
「お陰であなたが原田さんをスーパーで付け回していたことも、それ以外はGPSと望遠鏡で確認していることも分かりました。原田さんの会社の同僚を脅して原田さんのスマートフォンいじったり、在宅作業をしていることを聞き出していたことも確認しました。……あ、あと原田さんの避難先まで追いかけてきたことも勿論把握していましたよ。おかげで彼女に人物特定してもらえました。他人をつけまわしている割に、自分の事は危機感無くて助かりました」
小野田さんは顔を真っ赤にして今にも飛びかかりそうだ。
「盗聴は犯罪だろ。お前こそが犯罪者なんだよ」
「証拠があれば教えてください。俺はたまたま落としたGPSと盗聴器を探すために少しだけ探らせてもらっただけですし、それらの証拠はもう残って無いですよね。どちらが犯罪者かは一目瞭然です」
反論することができないのか、小野田さんは窪田さんをひたすら睨んでいた。
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