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1.恐怖の日々
『愛那ちゃん。おかえりなさい。今日は寒いからお鍋でも作るのかな? ストレス発散用にスイーツが欲しくてヨーグルト買ったみたいだけど、本当はプリンが良かったんでしょ? その我慢がストレスだよ』
……まただ。最寄り駅から家までの行動を監視しているかのようなメール。しかも家のリビングの電気を点けた瞬間に送られてくるから、家に入るまでを監視されているということだろう。
今のところこのメール以外に実害はない。だけどこのメールが私を恐怖のどん底に突き落としている。
どんなにアドレスをブロックしても、アドレスを変えて送ってくる。イタチごっこでしかない。
一度だけ返信したことがある。一言、『迷惑なのでやめてください』と。だけど、すぐに来た返信の文面を見て返信したことを後悔した。
『メッセージありがとう。僕の想いがちゃんと伝わってないのかな? 一度会って話そうよ。そうすればもっと分かり合えるから』
こんな人と会いたくもなければ分かり合いたくもない。気味が悪くなってそれ以降返信はしていない。ブロックしても意味がないのでそれもやめた。
警察に相談しようとも思ったけど、迷惑メールだけでどこまで動いてくれるのか分からない。私は先月同窓会で貰った1枚の名刺を取り出した。
『何でも屋 FLEE TALK』
相談でも、雑談でも。愚痴聞くだけでもしてくれるって言ってた。顔を見て、話をするだけでも気分は晴れるかもしれない。そんな思いで電話番号をプッシュした。
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