1.決別と出会い

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 これからどうしよう……ネットカフェにでもいこうかと考えていたら、後ろから肩を叩かれた。 「橋元(はしもと)翔太(しょうた)くん、でしょ。俺さっき楽屋にいたんだけど、行くところないならウチに来ない?」  突然の提案に驚きつつ相手の顔をよく見たけど、知り合い……ではなさそうだった。僕の訝しげな表情を見てその人は苦笑いをし始めた。 「ごめんごめん、いきなりだったね。僕は佐倉(さくら)浩介(こうすけ)。ライブには良く来させてもらってるし、翔太くんにも楽屋で一度だけ挨拶させてもらったこともあるよ」 「あ……すみません。僕、人の顔覚えられなくて。で、ウチに来ないというのは?」 「俺シェアハウスをやっていて、部屋に空きがあるんだ。俺の仕事手伝ってくれれば家賃もいらない。翔太くん帰る家ないんだろ?」  さすがにほぼ初対面の人の家に行くのは……と悩んだが、他に行くところが無いのは確かだ。僕が迷っているうちに「とりあえず行こう。話はそれから」そう言って僕の肩に手を回すと反対方向へ踵を返した。近くのコインパーキングにある車に僕を乗せて、そのまま走り出した。 (仕事って何だろう……やばい仕事なんじゃ)  僕の不安が伝わったのか佐倉さんは赤信号で止まったタイミングで一枚の名刺を差し出してくれた。  “何でも屋 FREE TALK” 「困っている人を助ける仕事。俺らで出来ることなら基本何でもやるよ」  いまいち仕事内容は分からなかったけど、悪い人ではなさそうだな、なんて考えているうちに、佐倉さんは智裕さんの家から僕の荷物を引き上げてさらに車を走らせた。
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