二人の転校生

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二人の転校生

 東京から転校生がやってくると聞いたとき、心底同情した。ここの人間はよそ者、特に都会人を毛嫌いする傾向がある。加えて、高二の夏なんて中途半端な時期だ。溶け込めるはずがない。  ふと、小学生の頃を思い出す。クラスに馴染めなかった転校生のことだ。東京から引っ越してきたソイツはどうにかクラスメイトと打ち解けようと必死だった。みんなの後をついて回り、面白くもない話に手を叩いて笑い、時にはお気に入りのトレカを差し出しさえした。  しかし努力は空回り、ついにはいじめが始動。大した理由はなかったように思う。標準語が変だとか、みんなを見下しているだとか。ほとんど言いがかりに近い。見る見るうちにいじめは激化し、哀れなことに、ソイツは死んでしまった。
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