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 嫌な予感は的中。成宮が現れてから、俺の高校生活は一変した。  奴は人気者になるための全ての要素を持ち合わせていると言ってもよかった。並外れた瞬発力と非凡な着眼点、センス、バランス感覚。そして少しの抜け目と愛嬌。水泳の授業で水着のケツ部分が破れたり、調理実習で成宮のカップケーキだけが焦げたりした時は、笑いの神が肩入れしているとしか思えなかった。  今まで俺がかっさらっていた笑いは途端に鳴りを潜め、代わりに成宮が笑いの渦のど真ん中にいた。奴が転校してきてから、わずか一週間のことだった。
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