眩暈

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 優が泣き止むまで、和彦はなんとか自分の気持ちの折り合いをつけようとしていた。 「元カレは大丈夫なのか。DVならストーカーとか、なるかもしれないだろ」 「別れたいって言ったのはあっちだから。妊娠して……堕ろしたの」  孕んだ女に興味をなくしたということか。結果、縁が切れて良かったとはいえ、和彦は人生で初めて自分の中にある殺意を確信した。 「返していくのに家賃があるとキツイだろ。うちに帰って来い。どっちからでも連絡あったら俺に言え。全部任せろ。それと。残ってるLINEとかは保存しておいたほうがいい」  和彦の頭には長女と長男の顔が浮かんでいた。ふたりの生活まで壊す訳にはいかない。これで何もなければそれで終わりだ。大切なのはこれからだと、自分に強く強く言い聞かせた。
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