2人が本棚に入れています
本棚に追加
秀「なんだってんだ?まさか加代の野郎、もう1人始末しなきゃならない奴がいたのに教えなかったんじゃねぇだろうな?」
そんなことを言う秀の前に巨大な棍棒を持った巨体の人間が姿を見せたのだった。
金轟「なるほどな。お前が噂の仕事人って奴か。」
秀「なんだ、お前は。どこの組織の奴らだって言うんだ?」
金轟「俺の名前は金轟。だが、お前を倒すように頼まれたのは確かなんでな。遠慮なく潰させてもらうぜ!」
秀「俺を倒すように頼まれただって?お前達の元締を教えやがれ!」
そう告げた秀の言葉に反応せず棍棒を振り回してきたために秀は、またもや簪を取り出して背後に回ろうとしたが棍棒の一撃によって吹き飛ばされてしまうのだった。
秀「なんて怪力だ!こいつの力には俺ではかなわねぇな!」
そして、逃げようとした秀に金轟は棍棒から生み出された突風を利用して秀の動きを止めるのだった。
秀「な、なんて力だ!これじゃ逃げられねぇじゃねえか!」
金轟「当たり前だろ!誰がお前を逃がすものか!仕事人は俺一人で壊滅させてやるんだよ!」
そう叫んだ金轟が棍棒から生み出された突風を止めると共に棍棒を持ったまま跳躍して強烈な一撃を振りおろそうとした次の瞬間、秀を守るかのように1発の銃弾が金轟に向かって放たれるのだった。
?「2間、ここだ!」
金轟「グハッ!この重い鉛のような銃弾!まさか奴が来たのか!でも、そんなこと有り得るわけが無い!何故ならあいつは行方不明になったはずだからな!」
そして、物陰から金轟の前に姿を現したのは右手に鉄砲を持った必殺仕置人の1人、巳代松だった。
巳代松「俺が今放てるのはあと1発!あんた、俺が鉄砲玉を撃つまで時間を稼いでくれ!」
秀「分かった!」
そして、秀は簪を使った攻撃ではなくパンチやキックといった格闘攻撃によってなんとか金轟に食らいついていくのだった。
金轟「邪魔だ!仕事人!」
秀「悪いな。頼み事をされちゃあ断れねぇ性分でな!旦那、まだかい?」
かなりの間、時間稼ぎをしてきた秀が巳代松に尋ねると準備が出来た巳代松もこう返すのだった。
巳代松「準備は出来たぜ!そこを避けな!」
そう叫ぶと共に秀が屋根に飛び乗ったタイミングでもう1発の銃弾を放つのだった。
金轟「グハッ!ふ、ふざけやがって!覚えてろよ!」
そう叫んで逃げ出す金轟を見届けた巳代松は、屋根から降りてきた秀と顔を合わせるとこう告げたのだった。
巳代松「仕事人って事はあんた八丁堀の仲間か?」
秀「まあ、そんな所だ。」
巳代松「そうかい、そうかい。だったら八丁堀に会ったら伝えてくれないか。仕置人の1人、巳代松が江戸に帰ってきたってな!」
秀「ああ、分かったぜ。しっかり伝えておくよ。」
巳代松「じゃあな。」
そう告げると巳代松は颯爽と姿を消したのだった。
秀「仕置人、か。」
そんな事を1人で呟いた秀もまた江戸の街に消えたのだった。そして、これが仕事人と仕置人という全く違うチームでありながら中村主水が関わっていた事が原因で遭遇した初めての話でもあるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!