変わってる奴

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ガチャ~ン!! 店内に響く音 「なんだ?てめぇには関係ないだろうが!」 怒りを露にしている男 ああ、終わったな もう何度目だろう?数えるのも難しい。 だいたいいつも同じ展開だ。 自分には関わりのないことなのだから、見ないふり聞かないふりをすればいい。そんなことは当の昔に理解している。自分以外の者達は、それが出来ているから、こうやって罵声を浴びせられながらまだ日も暮れてないというのに、仕事を終わらせなければならないという状況にはならないのだ。 理解しているのと、上手くやれるのは別だ。 何度か挑戦してみたが、間違ってると思ったことを気付かないふりをして飲み込む。 それは本当に不快で、その後自分が見せる表情も発する言葉も、全てが偽りのようで、何より自分で自分を裏切っているような感覚が許せなかった。 自分が気持ち良く生きていく為選んだ道は、長くて1ヶ月で職場を変えなければならない。 人の噂はすぐに広がるものだ。そろそろこの街を出るか。 店を出て、そう思いながら歩いていると、 「おい」 後ろから声が聞こえる。 知り合いなど殆どいない。女の声だから、さっき怒鳴ってた奴でも、解雇した店主でもない。自分にかけられた声ではないなと歩いていると、 「おい!」 再び、さっきより少し強めな声が聞こえる。 やっぱり自分のことか? そう思って振り向くと、いかにも人生を謳歌してますと言わんばかりのオーラを纏った女が見ていた。 「なんだ?」 よく見ると、少し後ろには、その女とは真逆なオーラを纏った男が立っており、先程まで働いていた店の客達だと気づく。 怒らせた男の知り合いなのだろうか?なんにしても厄介なことになりそうだ。 そう思っていると、 「お前、私と一緒に旅しないか?」 …予想外過ぎる一言が返ってきた。
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